温泉の泉質とは?知っておきたい10種類の泉質とそれぞれの効果・効能

温泉と桶Health&Beauty

日本人が大好きな温泉。

世界中で、これほど温泉・お風呂が好きな国はないでしょう。

温泉は、日頃の疲れを癒し、心身ともに、リフレッシュさせてくれますね。

疲れたら、ついつい『あ〜、温泉行きたい!』と言ってしまう方も多いのではないでしょうか?

でも、温泉は好きでも、泉質について、詳しく知っている方は、少ないかもしれません。

温泉には、いろいろな泉質がありますよね。

どんな泉質があって、どんな効果・効能があるのか、知っておきたくありませんか?

そこで、この記事では、温泉の泉質について、詳しくご紹介していきます。

この記事を読むと、温泉の泉質についての知識が身に付きます。

温泉とは

温泉とは、1948年(昭和23年)に定められた「温泉法」という法律によって定義されています。
『地中からゆう出する温水、鉱水および水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)』と定義されています。

25℃以上、または、25℃未満でも、水素イオンやリチウムイオン、ラドンなどの19種類のミネラル物質のいずれかひとつ以上規定量含まれているもののことを言います。

環境省は、温泉療養のイ・ロ・ハというもので、温泉についてをまとめています。

温泉の泉質

温泉

温泉の泉質は、以下の10種類があります。

①単純温泉、②塩化物泉、③炭酸水素塩泉、④硫酸塩泉、⑤二酸化炭素泉、⑥含鉄泉、⑦酸性泉、⑧含よう素泉、⑨硫黄泉、⑩放射能泉 です。

それでは、それぞれの泉質を詳しく見ていく前に、温泉用語についてご紹介しておきます。

〈温泉用語〉

  • 適応症
    適応症とは、温泉療法によって、効果をあらわす症状のことを言います。
    『この温泉は、〇〇に効く』などという、効果・効能にあたるもののことです。
    全ての温泉に共通する、“一般的適応症”と、泉質別で異なる、“泉質別適応症”があります。
    適応症の効果を得るには、お湯に浸かる『浴用』と、お湯を飲む『飲用』があります。
  • 溶存物質
    温泉に含まれるガス性以外の物質の総量のこと。
    陽イオンと陰イオンと非解離物質の総合計の値のことをさします。
一般的適応症

筋肉もしくは関節の慢性的な痛み、又は、こわばり(関節リウマチ、変形性関
節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、
運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、
胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、
軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、
軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、
自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、
病後回復期、疲労回復、健康増進
下記の温泉の泉質の章で、泉質別適応症は、それぞれの適応症として、ご紹介していきます。

単純温泉 ◎たんじゅんおんせん

温泉

【特徴】
肌への刺激が少なく、肌触りが柔らかいのが特徴です。
子供からお年寄りまで、安心して入れるやさしい温泉と言えます。
単純温泉の中でも、pH8.5以上のものを、『アルカリ性単純温泉』と呼びます。
アルカリ性単純温泉は、肌の角質をなめらかにするため、肌のすべすべ感を感じられます。
そのため、『美肌の湯』と言われています。
単純温泉は、日本全体の40%を占めるほど、一番多い泉質です。

【基準】
温泉水1kg中日含まれる溶存物質量(ガス性のもの以外)が1,000mg未満で、陰イオンの主成分が、塩化物イオンのもの。

【適応症】
〈浴用〉自律神経不安定症、不眠症、うつ状態
【単純温泉の温泉地】
下呂温泉(岐阜)、鬼怒川温泉(栃木)、箱根湯本温泉(神奈川)、由布院温泉(大分)、道後温泉(愛媛)、宇奈月温泉(富山)、妙高温泉(新潟)、鹿教湯温泉(長野)

塩化物泉 ◎えんかぶつせん

【特徴】
海水のように、塩分を多く含んでいるため、殺菌効果があります。
また、塩分が肌を覆うため、保温効果があり、湯冷めしにくいのが特徴です。
塩化物泉は、単純温泉に次いで多い泉質で、日本の温泉の27%を占めています。
塩分が主成分なので、飲用すると、塩辛く、マグネシウムが多い場合は、苦く感じます。
陽イオンの主成分により、ナトリウム塩化物泉、カルシウム塩化物泉、マグネシウム塩化物泉などに分類されます。

【基準】
温泉水1kg中に溶存物質量(ガス性のもの以外)が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が塩化物イオンのものです。

【適応症】
〈浴用〉きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
〈飲用〉萎縮性胃炎、便秘
【塩化物泉の温泉地】
熱海温泉(静岡)、有馬温泉(兵庫)、肘折温泉(山形)、指宿温泉(鹿児島)、黄金崎不老ふ死温泉(青森)、渋温泉(長野)、片山温泉(石川)、和倉温泉(石川)

炭酸水素塩泉 ◎たんさんすいそえんせん

温泉

【特徴】
皮脂を洗い流す効果があり、石鹸で洗ったような清涼感を感じるお湯です。
アルカリ性のお湯で、肌の角質を柔らかくし、なめらかにするため、『美肌の湯』と呼ばれます。
ナトリウム炭酸水素塩泉、カルシウム炭酸水素塩泉、マグネシウム炭酸水素塩泉などに分類されます。
カルシウム炭酸水素塩泉からは、石灰質の温泉沈殿物が生成されることがあります。

【基準】
温泉水1kg中の溶存物質量(ガス性のもの以外)が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が炭酸水素イオンのもの。

【適応症】
〈浴用〉きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症
〈飲用〉胃十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、耐糖能異常(糖尿病)、高尿酸血症(痛風)
【炭酸水素塩泉の温泉地】
別府温泉(大分)、川湯温泉(和歌山)、妙見温泉(鹿児島)、小谷温泉(長野)、支笏湖温泉(北海道)、東鳴子温泉(宮城)、十津川温泉(奈良)、龍神温泉(和歌山)、星野温泉(長野)

硫酸塩泉 ◎りゅうさんえんせん

【特徴】
鎮静効果があり、痛風などの痛みを和らげると言われています。
また、肌の生まれ変わりを助け、傷などを早く治す効果があります。
高血圧や脳卒中にも効果があります。
ナトリウム硫酸塩泉、カルシウム硫酸塩泉、マグネシウム硫酸塩泉などに分類されます。

【基準】
温泉水1kg中の溶存物質量(ガス性のもの以外)が、1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が硫酸イオンのもの。

【適応症】
〈浴用〉きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
〈飲用〉胆道系機能障害、高コレステロール血症、便秘
【硫酸塩泉の温泉地】
四万温泉(群馬)、山中温泉(石川)、黒川温泉(熊本)、玉造温泉(島根)、赤倉温泉(新潟)、東山温泉(福島)、天童温泉(山形)、法師温泉(群馬)、天城湯ヶ島温泉(静岡)

二酸化炭素泉 ◎にさんかたんそせん

温泉

【特徴】
炭酸水に似た泉質で、炭酸ガスを含んでいて、入浴すると、全身に炭酸の泡が付着します。
二酸化炭素泉は、低温ですが、血管が拡張し、血液循環を良くする効果があります。
そのため、血圧が下がります。
日本では比較的少ない泉質です。
飲用すると、爽快な喉越しがあります。
『泡の湯』とも呼ばれています。

【基準】
温泉水1kg中の浮遊炭酸(二酸化炭素)が、1,000mg以上含まれているもの。

【適応症】
〈浴用〉きりきず、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症
〈飲用〉胃腸機能低下
【二酸化炭素泉の温泉地】
長湯温泉(大分)、玉川温泉(秋田)、増富温泉(山梨)、大塩温泉(福島)、肘折温泉郷の黄金温泉(山形)、吉川温泉(兵庫)、中子沢温泉(新潟)、湯谷温泉(岐阜)

含鉄泉 ◎がんてつせん

【特徴】
湧き出た直後は無色透明ですが、鉄分を多く含むため、空気に触れると鉄分が酸化し、赤褐色に変化します。
鉄が効率的に熱を伝えるため、体が芯から温まります。
飲用すると、貧血や更年期障害などに効果があると言われています。
酸化していないお湯の方が効果が高いと言われています。

【基準】
温泉水1kg中の総鉄イオンが、20mg以上含まれているもの。
陰イオンによって、炭酸水素塩型と硫酸塩型に分類されます。

【適応症】
〈飲用〉鉄欠乏性貧血症
【含鉄泉の温泉地】
有馬温泉(兵庫)、登別温泉(北海道)、鳴子温泉(宮城)、雲仙温泉(長崎)、長良川温泉(岐阜)、火打崎温泉(山形)、鉄輪温泉(大分)

酸性泉 ◎さんせいせん

草津温泉

【特徴】
強い殺菌力があり、慢性的な皮膚病に効果があります。
古い角質を落とし、新陳代謝を高めます。
酸性のため、肌がしみることがあるため、入浴後は、洗い流した方が良いでしょう。
旧泉質名は『明ばん(みょうばん)泉』です。
貴金属を腐食させるため、入浴の際は、貴金属を取り外しておきましょう。

【基準】
温泉水1kg中に水素イオンが1mg以上含まれれいるもの。

【適応症】
〈浴用〉アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症
【酸性泉の温泉地】
酸ヶ湯温泉(青森)、草津温泉(群馬)、玉川温泉(秋田)、蔵王温泉(山形)、須川温泉(岩手)、蓮華温泉(新潟)、後生掛温泉(秋田)、明礬温泉(大分)

含よう素泉 ◎がんようそせん

【特徴】
うがい薬の成分の“ヨウ素”が含まれるお湯で、殺菌効果があります。
全身の新陳代謝を促進し、内臓の働きを活発にします。
美肌の湯とも言われています。
お湯は、時間が経つと黄色く変色します。

【基準】
温泉水1kg中のよう化物イオンが10mg以上含まれているもの。

【適応症】
〈飲用〉高コレステロール血症
【含よう素泉の温泉地】
白子温泉(千葉)、酒々井温泉(千葉)、青堀温泉(千葉)、たまゆら温泉(宮崎)、前野原温泉(東京)、聖龍温泉(新潟)、新屋温泉(秋田)

硫黄泉 ◎いおうせん

銀山温泉

【特徴】
硫化水素による、卵の腐敗臭のような独特の匂いがあります。
硫化水素を吸い込むと、痰が出やすくなります。
殺菌効果や血管を拡張する効果があり、肌の角質を柔らかくします。
シミ予防にも効果があると言われています。
硫黄型と硫化水素型に分類されます。
日本では比較的多い泉質です。
湯あたりしやすいので注意しましょう。

【基準】
温泉水1kg中の総硫黄が2mg以上含まれているもの。

【適応症】
〈浴用〉アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症
(硫化水素型については、末梢循環障害が加わります)
〈飲用〉 耐糖能異常(糖尿病)、高コレステロール血症
【硫黄泉の温泉地】
万座温泉(群馬)、銀山温泉(山形)、越後湯沢温泉(新潟)、日光湯元温泉(栃木)、箱根温泉郷の小涌谷温泉(神奈川)、銀山温泉(山形)、白骨温泉(長野)、霧島温泉(鹿児島)、ニセコ湯本温泉郷(北海道)

放射能泉 ◎ほうしゃのうせん

【特徴】
ごく微量の放射能を含みんでいます。
ごく微量の放射能は、レントゲンよりももっと少なく、人体に良い影響を与えることが実証されています。免疫力が上がると言われています。
皮膚や呼吸器から吸収され、入浴後すぐに排出されます。
放射能泉は、数が少ない貴重な泉質です。
『ラジウム泉』、『ラドン温泉』と呼ばれています。

【基準】
温泉水1kg中のラドンが8.25マッヘ単位以上含まれるもの。

【適応症】
〈浴用〉高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎など
【放射能泉の温泉地】
湯の花温泉(京都)、湯の山温泉(三重)、猿投温泉(愛知)、栃尾又温泉(新潟)、三朝温泉(鳥取)、増富温泉(山梨)、恵那ラヂウム温泉(岐阜)

まとめ

温泉

温泉の泉質には、①単純温泉、②塩化物泉、③炭酸水素塩泉、④硫酸塩泉、⑤二酸化炭素泉、⑥含鉄泉、⑦酸性泉、⑧含よう素泉、⑨硫黄泉、⑩放射能泉 の10種類があることが分りました。

それぞれの泉質の特徴や適応症を見て、自分に合った温泉を選ぶというのもいいですね。

このご時世、なかなか温泉に行けないということもあると思います。
それなら、自宅でお風呂を楽しむというのもいいですね。
入浴剤もいろいろ市販されていますので、入浴剤を入れて、楽しみましょう。

別府の明礬(みょうばん)温泉、自宅で温泉気分が味わえる、温泉の素がおすすめです。

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入浴剤エプソムソルトについての記事はこちら↓

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